「情報Ⅰ」必修化の背景と「日本語入力スキル」向上の必要性

「情報Ⅰ」必修化の背景と「日本語入力スキル」向上の必要性

■高校「情報1」必修化の背景

AIの進化やIoTの発展など社会は大きく変化し、新たな時代「Society5.0」の到来も予測されています。AIが人間を上回る知性が誕生するシンギュラリティの時期(2045年)は、数年後に早まったと言われます。こうした社会の変化に対応するためには、情報を見極める力や情報技術を利用して課題解決する力を身につける必要があります。複雑化する社会に適合し、積極的に社会参画できるように設けられたのが高校「情報Ⅰ」です。

▼2025年に、小学3年生になった子どもを例に、変化の時期を時間軸で図示しました。

■「情報Ⅰ」の基礎の第一歩は日本語入力スキル(タイピング)

「情報1」で学ぶ幅広い学習内容は、小学校でのプログラミング、中学校での「技術」の学習を通して土台が作られます。この土台作りのためにGIGAスクール構想でICT環境が整備され、情報活用能力の育成ができるようになりました。情報活用能力は、言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」に位置付けられ、初めに習得する基本的な操作スキルに「日本語入力スキル」(タイピング)と文部科学省が位置づけました。

■「日本語入力スキル」習得の目標を設定(文部科学省:2024年4月)

文部科学省は、小学生・中学生の「日本語入力スキル」向上の目標を次のように定めました。

教育の情報化に係るKPI(重要業績評価指標)小学5年生40字/分、中学2年生60字/分


教育の情報化を推進するKPI設定の背景

(1) GIGAスクール構想の第2段階

  • GIGAスクール構想の初期段階では、「1人1台端末」と「高速ネットワーク環境」の整備が完了しました。
  • 次は、ICT環境を効果的に活用し、学びの質を高めることが目標とされています。
    • このためには、ICTを使いこなす基礎スキルとして、キーボード入力スキルの向上が必要とされています。

(2) 学びの個別最適化

  • AIやデジタル教材を活用し、生徒一人ひとりに合わせた学習が可能になります。そのためには、学習者が自分の考えや情報を端末に入力し、表現するスキルが求められます。

(3) 日本語特有のスキル

  • 漢字変換を伴う日本語入力は、他の言語と比較して高度なスキルが求められます。
    • 漢字変換のミスを無くし、文節の適切な区切り方を習得することで、正確な入力スキルを身につけることができます。
    • 小学生の段階でこのスキルを身につけることで、将来的にスムーズなコミュニケーション能力を発揮できるようになります。

(4) 将来のキャリア形成

  • 現在の社会では、タイピングスキルはほぼすべての職業で必要とされます。
  • 子どものうちからタイピングスキルを育むことで、将来のキャリア選択の幅が広がります。

■小学生の段階から英語やプログラムを入力するスキルを育成します

日本語入力スキルと併せ、英語やプログラ厶入力のスキルも求められるようになります。
「ICTタイピング」は、そうした時を先取りした練習機能を持っています。


1. 英語入力スキルの必要性

  • 英語教育との連携
    英大文字、小文字の入力の練習で、英語学習とタイピングスキルの習得を同時に進めることが可能です。

2. プログラム入力スキルの必要性

  • 情報1のプログラミングの実習などで基礎的なコード入力が必要になります。
  • プログラミング言語はすべて英数字や特定の記号を使うため、タイピングスキルが不可欠です。
  • 具体例:
    • Python: print(“Hello, World!”)
    • HTML: <p>This is a paragraph.</p>
    • 記号の正確な入力(”, :, {, }など)

3. 将来の仕事や学習の基盤として

  • タイピングスキルに英語やプログラム入力が加わることで、将来の学習やキャリアでの活用範囲が広がります。
  • :
    • 高校や大学でのレポート作成。
    • IT関連の仕事やデジタルツールを使う仕事。

まとめ

日本の小学生にとって、タイピングスキルに加えて英語やプログラム入力のスキルは、現代のICT教育や将来の学びに不可欠な要素です。これらのスキルを習得することで、デジタルツールを活用する力が身に付き、グローバル社会やIT分野での活躍に繋がります。